【日本アカデミー賞】歴代の最優秀作品賞|全てのあらすじ・見どころを解説!

【日本アカデミー賞】歴代の最優秀作品賞|全てのあらすじ・見どころを解説!

日本アカデミー賞受賞式の季節ですね。

この時期になると…

・歴代のアカデミー賞最優秀作品賞が見たい!

・過去の優秀作品賞のあらすじや見どころが知りたい!

・配信サービスで視聴できるのでは…。

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こんなことを考える人が増えるよね(多分)。

今回は、そんな方のために歴代の日本アカデミー賞最優秀作品賞のあらすじ・見どころまとめました。

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▼過去の優秀作品賞一覧
※各作品のあらすじ・見どころが見たい人はこちらから。

日本アカデミー賞歴代優秀作品賞一覧
回数 タイトル 西暦 配信状況
1 幸福の黄色いハンカチ 1977
2 事件 1978
3 復讐するは我にあり 1979
4 ツィゴイネルワイゼン 1980
5 駅 STATION 1981
6 蒲田行進曲 1982
7 楢山節考 1983
8 お葬式 1984
9 花いちもんめ。 1985
10 火宅の人 1986
11 マルサの女 1987
12 敦煌 1988
13 黒い雨 1989
14 少年時代 1990
15 息子 1991
16 シコふんじゃった。 1992
17 学校 1993
18 忠臣蔵外伝 四谷怪談 1994
19 午後の遺言状 1995
20 Shall We ダンス? 1996
21 もののけ姫 1997
22 愛を乞うひと 1998
23 鉄道員 ぽっぽや 1999
24 雨あがる 2000
25 千と千尋の神隠し 2001
26 たそがれ清兵衛 2002
27 壬生義士伝 2003
28 半落ち 2004
29 ALWAYS 三丁目の夕日 2005
30 フラガール 2006
31 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン 2007
32 おくりびと 2008
33 沈まぬ太陽 2009
34 告白 2010
35 八日目の蝉 2011
36 桐島、部活やめるってよ 2012
37 舟を編む 2013
38 永遠の0 2014
39 海街diary 2015
40 シン・ゴジラ 2016
41 三度目の殺人 2017
42 万引き家族 2018
43 新聞記者 2019

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歴代の日本アカデミー賞最優秀作品賞の全あらすじと見どころ

歴代の日本アカデミー最優秀作品賞を全て書いているので、かなり長くなっています。

下記のリンクから年代ごとにジャンプできるようにしていますので、ぜひご活用ください。

幸福の黄色いハンカチ【第1回(1977年/昭和52年)受賞】

あらすじ

恋人に振られて落ち込む鉄也は、傷心の旅に北海道へと出かける。

北海道で鉄也は女の一人旅をしていた朱美と出会い、さらに二人は刑務所から出所したばかりだという勇作と出会う。

旅が進むにつれて、勇作は「もし自分のことを待っているのなら、黄色いハンカチを家の前に掲げてくれ」と書かれた手紙を妻に送ったことを打ち明けるのだった。

見どころ

ロードムービーの名作。

朴訥で不器用な人物を演じる高倉健と、ドタバタでコミカルな武田鉄矢と桃井かおりとのコントラストが織りなす旅道中は必見です。

俳優陣は非常に豪華で、脇役として渥美清も登場している点も見逃せません。

また、シンプルでありつつも心に深く届く物語は、時代が過ぎてもなお色褪せない輝きを放っています。

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事件【第2回(1978年/昭和53年)受賞】

あらすじ

若い女性の刺殺死体が発見された。

ほどなくして19歳の工員、上田宏が容疑者として逮捕される。

宏は被害者ハツ子の妹ヨシ子と恋仲だった。

裁判がはじまると、宏は起訴事実に対して殺意はなかったことを主張。

はたして本当に宏がハツ子を殺したのか。

検察側と弁護側の息づまる駆け引きのなか、事件の真相が少しずつあぶりだされていく。

見どころ

ありきたりな殺人事件と思われていたものが、しだいに迷走をはじめ、ぐいぐいと真相へ向かっていく法廷劇。

ラストシーンまでまったく目が離せません。

事件の背景に存在した、一人の男性を愛してしまった姉妹の葛藤が裁判を通して浮き彫りになっていく過程は見応えがあります。

検事と弁護人の法廷対決も見どころのひとつ。

芸達者な俳優陣の名演も作品を盛り上げています。

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復讐するは我にあり【第3回(1979年/昭和54年)受賞】

あらすじ

詐欺や殺人などの犯罪を繰り返し死刑となった男、榎津巌。

敬虔なクリスチャンで合った巌の父、榎津鎮雄。

巌の妻であり義父の鎮雄に心を寄せる加津子。

このような家庭を持つ榎津巌は父と妻の関係を疑いつつ、殺人犯として指名手配されながら逃走を続ける日々を送る。

指名手配犯であると気づかれるリスクの中、上手く別人に成りすまし逃走し続ける榎津巌。

それに関りを持つ人々との間で引き起こされる新たな犯罪など、激しい生涯を描いた作品である。

見どころ

主人公・榎津巌を演じる緒形拳さん。

妻や父親への暴言や嫌がらせ、無慈悲に人を殺す場面、詐欺師として巧みにだまそうとする様子など、人間の負の部分を表出させた人物像を見事に描いています。

指名手配を受けながら、人に不幸をまき散らしていく男は、どのような思いで生きていたのだろうと考えさせられる作品です。

ハッピーエンドで終わるような娯楽作品ではなく、心に暗い影を残すような印象深い映画といえます。

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ツィゴイネルワイゼン【第4回(1980年/昭和55年)受賞】

あらすじ

士官学校の教授である青地と、友人の中砂は旅に出るが、その途中で小稲という芸者と出会う。

小稲は弟の葬式に行ってきたと話していた。

その1年後、青地は中砂が結婚したという知らせを聞いて尋ねるが、妻の園は小稲とそっくりの顔をしていたため非常に驚く。

その後園は病に倒れ、幼い娘を残して亡くなった。

そして再び青地が中砂を訪ねると、なんと小稲が乳母となり中砂の娘を抱いていた。

見どころ

日本映画の中でも類を見ない怪作として、見た人の頭から離れない衝撃的で印象的な作品です。

主要なキャスト陣が演じる人物たちも大変個性的ですし、ストーリー展開も斬新ですが、危険なムードが満載で殺気さえも感じさせるようなスリリングな演出も大変見どころがあります。

そして、サラーテのバイオリンの名曲でもあり、この映画のタイトルにもなっている、「ツィゴネルワイゼン」がどのような意味を持っているのかにも注目です。

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駅 STATION【第5回(1981年/昭和56年)受賞】

あらすじ

警察官の英次は、オリンピックの射撃選手としても選ばれ、忙しさからすれ違いが生じた妻と離婚することになる。

そんな時、英次の上司が連続警察官銃殺犯に射殺されてしまう。

その後もオリンピック強化コーチを務めながら、連続通り魔を追うなど、警察官としての任務に励む中で、ある女性と出会い、惹かれ合うことになるが…。

見どころ

言わずと知れた演技派俳優高倉健が主演を務め、離婚する妻役をいしだあゆみ、主人公と出会う女性を賠償千恵子が魅力的に演じるなど、とにかくキャスト陣が演技派揃いで大変豪華です。

北海道の壮大で美しい風景を舞台に、八代亜紀の名曲「舟唄」がとてもドラマティックに取り入れられていて、ストーリーやキャスト陣の演技はもちろん、演出も素晴らしい映画となっています。

蒲田行進曲【第6回(1982年/昭和57年)受賞】

あらすじ

場所は京都撮影所、土方歳三に扮して倉岡銀四郎が登場する。

役者としての評価も高く人情味溢れる銀四郎は銀ちゃんと呼ばれ人気があった。

しかし感情の起伏が激しいことでもしられており、この日に撮影するのは自身が主役を務める作品だ。

落ち着ける余裕もなく神経が異常にたかぶってしまい、とりまきの役者をいびるわ殴るわで誰も止められない。

見どころ

見どころは何と言っても派手なアクションでしょう。

ここでは千葉真一や真田広之、志穂美悦子などアクションに定評のある役者が存在感を遺憾なく発揮し見るものの目を奪います。

深作監督はこういったアクションものを製作することが多いですが、この作品は特に流動的かつ活動的で飽きずに見続けられるのではないでしょうか。

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楢山節考【第7回(1983年/昭和58年)受賞】

あらすじ

雪が降り積もる貧しく小さな村に帰ってきた辰平は、母親のおりんの傍で草鞋を編み始める。

ある時馬屋に住んでいた辰平の弟である利助が田んぼで嬰児の遺体を見つける。

おかねの家に行ってみると長男の欣やんから棺桶を作るように頼まれる。

おかねの見舞いにいったおりんであったが、病気のことを嘆いておりこの歳にもなって健康なのは恥さらしだと自嘲する。

見どころ

この作品では村社会の因習や人間模様が窺えます。

作品に登場するのは綺麗な自然や風景で癒しを感じることもありますが、どうしても村八分の場面や老人を山に捨てるなど目を覆いたくなるような箇所が出てきます。

しかし、これが自然の美しさとコントラストのように映えて特に都会に住んでいる人にとっては新鮮に思えるのではないでしょうか。

お葬式【第8回(1984年/昭和59年)受賞】

あらすじ

妻の父が亡くなり、侘助は葬儀の手続きを行うことになった。

今までに味わったことのない忙しさにてんてこ舞いの日々だったが、そんなある時東京から愛人が訪れる。

葬儀の手伝いに来たのかと思いきや、実は侘助に会いに来たというのだ。

それどころではない侘助だが、妻の千鶴子と通夜を進めていくのを愛人は嫉妬の目で見つめる。

見どころ

タイトルだけ見るとしんみりとした悲しい作品なのかなと思いますが、実際はかなり笑える内容になっています。

特に葬式という舞台の中でそれを取り巻く人々の人間模様が濃く描かれていますので、誰か一人を主人公として焦点を当てるのではなく登場人物すべてが主役で作品の鍵を握っている、として見るとより一層奥深さを感じられるでしょう。

花いちもんめ。【第9回(1985年/昭和60年)受賞】

花いちもんめ

あらすじ

この映画はアルツハイマー症を患う鷹野冬吉、そして彼を取り巻く家族の物語である。

冬吉は働いていた歴史史料館で貴重な縄文土器を落としてしまい、首を宣告される。

この出来事を機に自分に異変に気付いた冬吉は病院へ行くが、そこでアルツハイマー症であると告げられる。

病気が進行して妻のことすら忘れてしまう冬吉だが、彼の頭に最後まで残っていたのは妻との思い出だった。

見どころ

結婚式でのスピーチを忘れ、妻の顔すらわからなくなる冬吉の姿は、遺された家族に大きな悲しみをもたらします。

しかし、クライマックスシーンでの彼の行動で涙腺爆発です。

こういうことは現実でもあるんだろうなと深く考えさせられる作品です。

火宅の人【第10回(1986年/昭和61年)受賞】

あらすじ

作家である桂一雄は妻のリツ子に先立たれ、ヨリ子を後妻として迎える。

一雄の腹違いの五人の子供を育てるヨリ子。

しかし、その子供の一人が日本脳炎を患った結果、重度の障害が残ってしまう。

子供や妻が苦しむ中、一雄は小説を執筆する一方で女優で愛人の恵子と付き合うなど、家庭を顧みない奔放な生活を送るのだった…。

見どころ

日本文学大賞を受賞した同名ベストセラー小説を、「仁義なき戦い」で知られる深作欣二監督が映画化。

1986年の日本アカデミー賞では作品賞以外にも、主演男優・女優賞など計7部門を本作が独占しました。

主人公を演じる緒形拳だけではなく、彼を取り巻く女性陣の演技はまさに圧巻。

人間の持つ情念を、濃厚な性描写とともに描く人間ドラマの名作です。

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マルサの女【第11回(1987年/昭和62年)受賞】

マルサの女

あらすじ

マルサとは国税局査察部のこと。

その査察官と実業家との脱税をめぐる戦いをえがいた物語である。

主人公の税務署の女性調査官・板倉亮子は日々の努力が認められ、東京国税局査察部の査察官に配属されることになる。

過去の調査官時代には、実業家・権藤英樹の脱税を疑って調査をするが、巧妙な手口と調査権限の壁に阻まれていた。

その後、板倉は権藤に再び国税局査察部の査察官として挑むことになる。

そこから政界や暴力団など様々な事柄が絡んで興味深いストーリーが展開していく。

見どころ

ベテランの俳優陣と伊丹十三監督脚本で、人物を独特のタッチで描いています。

主人公を演じる宮本信子、また山崎努が脱税している実業家の権藤役を怪演するなど、登場人物がそれぞれが個性的で心に残る名作です。

社会派の内容で、政治・企業・暴力など社会問題や人間模様を“脱税”というテーマで描いています。

しかも決して専門的な難しいものではなく、わかりやすく興味深い内容でストーリーが展開されて、観る者をどんどん引き込んでいく魅力的な映画です。

敦煌【第12回(1988年/昭和63年)受賞】

敦煌

あらすじ

舞台は11世紀の北宋の時代。

趙行徳は難関の試験である殿試を受験するために開封にいた。

出された問題は西夏対策を述べよ、というものであった。

懸命に勉強をしてきた趙行徳であったが、まさか辺境の地である西夏が出題されるなんてと愕然とし満足に答えることができなかった。

当然不合格となった趙行徳だが、ある時西夏の女性を助けることになる。

見どころ

見どころは砂漠の中での騎馬戦です。

最近ではCG撮影が多くなり、どこか違和感のあるように見えるものが大半を占めているのですが騎馬戦は圧倒的な迫力があります。

砂煙がすごく少々見にくい場面もありますが、それを除いても迫力のあるシーンなので一見の価値があります。

人数が多すぎないのも魅力で、一人一人の表情や動きがじっくり見られます。

黒い雨【第13回(1989年/昭和63年/平成元年)受賞】

あらすじ

原爆投下時に広島市内にいた矢須子は、黒い雨に打たれながらも無事に終戦を迎えた。

5年後には福山市で、叔父夫妻と平穏な日々を過ごしていた。

矢須子も結婚適齢期を迎えたが、広島市内にいたことを理由に断られ続ける。

そんな折に特攻隊員の悠一と恋に落ち、結婚話も順調に進み始める。

しかし、矢須子の体に異変が生じ、髪の毛が抜け始めてしまう。

見どころ

戦争の悲惨さと、人生を翻弄された人々の姿を描いた作品です。

原爆によって黒い雨を浴びてしまった矢須子は、終戦後も周囲から偏見の目で見られてしまいます。

苦しい状況でも理解ある男性と巡り会えて、やっとのことで幸せを手に入れます。

そんな矢先に、原爆による体の異変が起きてしまいます。

その後の二人の成り行きが見どころで、人の心と平和の大切さを描いた作品です。

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少年時代【第14回(1990年/平成2年)受賞】

あらすじ

この映画は太平洋戦争によって疎開を強いられた主人公の進二と、疎開先で出会ったタケシとの友情物語である。

進二とタケシはすぐに仲良くなるが、学校ではタケシは進二に対して高圧的な態度で接してくる。

そんなタケシを進二は理解できなかった。

そんなある日、不良に絡まれている進二をタケシが救出する。

友情を確信した進二は、タケシに歩み寄ろうとする。

しかしタケシはその友情を素直に受け入れることができない。

この物語は少年の揺れ動く気持ちを、見事に描いた作品である。

見どころ

疎開生活が終わり、進二が地元の東京へ戻るときに取ったタケシの行動が、彼の心の全てを表している。

このとき、物語中で時折みられるタケシの進二への友情が確かなものであることがわかり、温かな気持ちにさせられる。

クライマックスで進二の乗る電車を見守るタケシの姿は心を打たれるもので、この映画の一番の見どころである。

息子【第15回(1991年/平成3年)受賞】

あらすじ

東京でアルバイトをしながら生活する若者と、彼を心配する父、そして兄との関係が描かれた映画である。

男と男のぶつかり合いが不器用さを感じさせながらも、互いを思う気持ちが次第に物事を良い方向へ導く感動物語である。

鉄工場で社員として働くようになる主人公、浅野哲夫と、彼が恋した女性、征子との関係も見どころの一つ。

見どころ

母親の一周忌にアロハシャツとジーンズで現れた哲夫はいつまでアルバイトで生計を立てる生活態度を叱責され、反発します。

しかし哲夫は父の気持ちを次第に理解し、立派な人間に成長していきます。

冒頭のシーンからは想像できないような彼の成長、そして耳の聞こえない女性である征子が哲夫に及ぼす影響など、見どころ満載の映画です。

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シコふんじゃった。【第16回(1992年/平成4年)受賞】

シコふんじゃった。

あらすじ

大学生の山本秋平は就職先が決まっていたが、卒業のための単位を貰うため教授に頼みに行く。

すると、教授は単位をやる代わりに相撲部を手伝えと言う。

山本は嫌がりながらも相撲部に向かうが、部員は何度も留年している青木富夫しかいなかった。

団体戦の大会に出るため、山本と青木は部員のスカウトをすることにする。

相撲部での経験から、嫌々やっていた山本の心境に変化が出てくる。

見どころ

もっくんこと本木雅弘さんが主役を務める作品です。

アイドルのイメージが強かったもっくんですが、この作品で俳優としての知名度が一気に上がりました。

留年生の相撲部員役の竹中直人さんは、個性的でコミカルな演技をたっぷり見せてくれます。

全体的にもっくんと竹中さんが相撲に奮闘する姿が見どころとなります。

コメディーや青春ものとして日本を代表する映画になるでしょう。

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学校【第17回(1993年/平成5年)受賞】

あらすじ

東京の下町にある夜間中学校で、教師として働いている黒井。

夜間学校の卒業式が間近に迫ってきたある日、卒業文集を作るために作文の授業を行う。

作文用紙に各々の思いをつづる、年齢や職業もバラバラの生徒達。

様々な境遇に身を置く生徒達の姿を見ながら、黒井はこれまで彼らと過ごしてきた学校生活を振り返るのだった…。

見どころ

「男はつらいよ」で知られる山田洋次監督が、構想に15年を費やした学園物語。

笑いあり、涙ありの名作として高い評価を獲得しました。

見所は、もちろん教師・黒井と生徒との交流。

何気ない日常を通して、人間が持つ哀しさ美しさを余すところなく描ききっており、山田洋次の映画監督としての力量がいかんなく発揮されています。

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忠臣蔵外伝 四谷怪談【第18回(1994年/平成6年)受賞】

あらすじ

松の廊下事件で赤穂藩が取りつぶしになり浪人となった伊右衛門。

彼は江戸でお岩という女性と知り合い一緒に暮らすようになる。

しかしひょんなことから仇敵の吉良家家臣から縁談が舞い込んでくる。

盟友が仇討ち計画から脱落していく中、伊右衛門も婿入りして平穏な生活を望むようになっていく。

そこで、邪魔になってしまったお岩を葬ろうとする伊右衛門だったが…。

見どころ

史実である忠臣蔵と有名な四谷怪談を見事にコラボさせた作品と言えます。

深作欣二監督の深みのあるシーン撮りと人間が葛藤する様は見ものです。

忠義に厚い武士でも、人間として葛藤の末に選ぶのは必ずしも義によらないということを描いています。

同時に人間が持つ清濁、欲望、葛藤などを怪談を通じて表現した画期的な作品と言えるでしょう。

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午後の遺言状【第19回(1995年/平成7年)受賞】

あらすじ

毎年夏になると、ベテランの老女優・森本蓉子は避暑地として、蓼科の別荘を訪れる。

いつもと変わらず、蓉子を迎え入れる管理人の豊子。

今年も例年と同じ夏になると思われたが、ある日豊子は蓉子に、とある秘密を話し始めるのだった…。

生とは?死とは?一人の老いた女優が、生と死に静かに向き合うヒューマンドラマ。

見どころ

監督の新藤兼人は、撮影当時すでに80代。

監督の妻であり、豊子を演じた女優・乙羽信子は、ガンを患いながらの出演となりました。

生と死という、人間にとって避けられない問題に真正面から取り組んだ名作です。

その一方で、死を扱っているにもかかわらず、作風はあくまで穏やか。

時折ユーモアを交えながら、生と死を面白おかしく、時には残酷に描いています。

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Shall We ダンス?【第20回(1996年/平成8年)受賞】

あらすじ

念願のマイホームを手に入れ、家庭にも恵まれた杉山正平。

しかし、彼には満たされない何かがあった。

あるとき、電車からみた社交ダンス教室にいた美しい女性に目を奪われた杉山は、数日後にダンス教室を訪れ社交ダンスを学ぶことになる。

気になる女性、岸川舞からの指導は受けられないことになったものの、杉山のダンスへのひた向きさから二人の距離は縮まっていく。

社交ダンスをテーマに、様々な人の思いを描いたハートフルコメディだ。

見どころ

社交ダンスを通じて描かれる杉山と舞の心の交流が見どころです。

妻も子供もいる中年男性杉山役を役所広司さんが、社交ダンサーの女性舞役を草刈民代さんが演じています。

一目惚れで恋なのか、それともそれ以外の感情なのか。

感情が社交ダンスへの真剣さなどに表れているのが特徴で、場面場面で杉山の優しさなどが描かれているのが特徴です。

また、シリアスなだけでなく、脇を固める竹中直人の演技にも注目です。

コメディ路線を走る役柄になっていて、シリアスさのコメディの程よい割合がヒットの要因になっています。

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もののけ姫【第21回(1997年/平成9年)受賞】

あらすじ

タタリ神の呪いを受けたエミシの少年アシタカ。

彼が呪いを解く旅の途中で出会ったタタラ場の女頭、エボシこそがタタリ神を産んだ原因だったのだ。

エボシはタタラ場で作った石火矢で村をもののけや侍から守っていたのだが、山犬に育てられた少女サンは彼女を狙い続ける。

やがてシシ神の謎を探る男ジコ坊とエボシはシシ神狩りを始めようとする。

サンとアシタカはこの戦いを止めようとするが…。

見どころ

文明と自然の神々が調和していた時代を描いた作品です。

人間の欲望の愚かしさ、自然の偉大さ、一度破壊してしまうと取り返しがつかないことなど考えさせられます。

このような混沌な中でサンを想うアシタカの純粋な気持ちが、人間ともののけの間にある葛藤をどう解きほぐすカギになるのか…。

人間側、もののけ側双方の正義がぶつかり合う壮大な叙事詩と言えます。

愛を乞うひと【第22回(1998年/平成10年)受賞】

あらすじ

主人公の照恵は夫を亡くし、印刷会社で働きながら、一人娘の深草と2人で暮らしている。

そんな照恵には、実の母から虐待を受けた暗い過去があった。

照恵が幼い頃両親は離婚、父と2人で暮らしていたが、父の死をきっかけに孤児院へ。

そこに母豊子が照恵を引き取りにくる。

腹違いの弟、豊子の新しい男と4人で暮らす照恵は、母からの折檻を受けるようになる。

見どころ

とても痛々しい場面が多いストーリーですが、過去に心と体に深く負った傷を乗り越えながら生きていこうとする主人公の姿に、心を痛めながら引き込まれていき、つい釘付けになってしまいます。

現代でも度々社会問題となっている虐待を、リアルに激しく描写していることで、虐待が子供の人生に及ぼす深刻な影響について考えさせられる映画です。

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鉄道員 ぽっぽや【第23回(1999年/平成11年)受賞】

あらすじ

ぽっぽやとして職務を勤め、定年前の主人公はその仕事熱心さ故に、産まれて少しの我が子、そして自分の妻の死に目にも立ち会えなかった。

そんな彼の定年が近づくある日、見知らぬ幼い女の子に駅で出会う。

そしてそれから少し経って、先日より少しお姉さんの女の子に同じく駅で出会う。

話していると、なんだか初めてではないような不思議な感覚に陥るが、果たして少女は何者なのか。

ついポロリと涙が出てしまう、そんな作品だ。

見どころ

一体謎の少女は誰なのか、それがメインとなる作品ではありますが、その答えに涙が止まりません。

田舎にある小さな駅で、頑張ってきたぽっぽやの主人公に起こった素敵な奇跡の話だと思います。

学校の教科書にも採用されたような有名な話ではありますが、高倉健さんを含めレベルが高い出演者の演技に釘付けになり、自分もまるでそこにいるのでは?という気持ちになれます。

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雨あがる【第24回(2000年/平成12年)受賞】

あらすじ

剣の達人でありながら出世欲がなく、職も当てもなく旅を続ける三沢伊兵衛(みさわいへい)とその妻、たよ。

ある日大雨で足止めをくらい、立ち寄った宿で様々なトラブルに遭遇することになる。

人の良さからトラブルを見たら解決のために動かなければ気がすまないのが伊兵衛の性格だ。

解決のために奔走する伊兵衛だが、それが理由で人生を大きく変える事件に巻き込まれることになる。

見どころ

故黒澤明監督が山本周五郎氏の短編小説をもとに執筆した遺稿脚本を基に、小泉堯史監督が補作して感性させた作品になります。

特に、剣の腕があっても優しさ故に出世ができず、だからこそトラブルを起こしてしまう伊兵衛の姿が見どころです。

損得勘定を抜きにして動いてしまうからこそ理解されず、しかし、それでも信念を貫く姿は人の心をうちます。

事件があった後、夫婦の選択するラストシーンの鮮烈さに繋がる部分にもなります。

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千と千尋の神隠し【第25回(2001年/平成13年)受賞】

あらすじ

千尋は父親の運転で引っ越し先へと移動していが、道を間違えてしまい謎の建物の前にたどり着く。

両親と共にその謎の建物を通るとそこには無人の街が広がっていたのだ。

しかし、この町は神々をおもてなしするために作られた街で、勝手に食べ物を食べてしまった両親は魔法で豚にされてしまう。

千尋は自分だけでも帰ろうとするが帰り道を失い、さらには存在自体を失いそうになったところをハクという少年に助けてもらう。

その後、ハクや釜爺、リンの協力のもと湯婆婆のもとまで行き、油屋で働けるようにお願いをする。

油屋で働くことを許された千尋は両親と共に元の世界へ帰ることを願いながら日々奮闘していく。

見どころ

千と千尋の神隠しの見どころはふたつあります。

まず一つ目がオサクレ様を油屋の従業員総出でおもてなしするシーンです。

本当はオサクレ様などではなく、元々は名のある河の神で千尋が周りから認められるようになるきっかけになります。

二つ目は、銭婆のもとから油屋に帰り湯婆婆と対峙するラストにかけての部分です。

感動するラストシーンでこの映画の一番の見どころシーンです。

たそがれ清兵衛【第26回(2002年/平成14年)受賞】

あらすじ

時は幕末。

庄内地方の海坂藩(うなさかはん)で御蔵役として務める井口清兵衛は、妻を亡くし、男手一つで二人の娘と老いた母の面倒を見ていた。

仲間からの酒の席も断り、夕暮れになると真っ直ぐ家に帰る彼に付いたあだ名は「たそがれ清兵衛」。

そんな清兵衛は、ある日幼なじみの朋江と再会する。

かつて清兵衛は朋江との縁談を勧められたこともあったが、貧しい生活を理由に縁談を断っていた。

しかしある日、藩命が下ったのを境に、清兵衛の人生は大きく動き出すことになる…。

見どころ

山田洋次監督初の本格時代劇。

幕末を生きた無名の下級武士の生活を、美しい日本風景と共に鮮やかに描いた名作です。

山田監督がこだわったのは、リアリズム。

時代考証に1年以上を費やし、衣装や建築、所作の一つ一つに至るまで細かく再現。

その苦労が見事に結実し、日本では映画賞を総なめ。

海外においても受賞こそ逃したものの、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるまでに至りました。

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壬生義士伝【第27回(2003年/平成15年)受賞】

あらすじ

幕末の新撰組にある一人の男が入隊してくる。

南部藩出身の吉村であった。

語り口は柔らかで人の良さそうな感じではあるが、剣を見るとかなり使い込まれている様子。

斎藤は新人歓迎会において、お国自慢をしている吉村に怒り帰り道でいきなり斬りつけたのだった。

死ぬわけにはいかないとする吉村に躊躇した斎藤は、あくまでも腕試しだと言い張る。

見どころ

現代にいて侍の生き方がよく分かるシーンがてんこ盛りです。

剣術のシーンも迫力があり、静かな内容かと思いきや見る側も熱くなれるなど様々な箇所に魅力が散りばめられています。

主役の吉村を演じる中井貴一の南部訛りも決して違和感はなく、まるでその時代に生きているかのような錯覚に陥ります。

演者一人一人の表情にも要注目です。

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半落ち【第28回(2004年/平成16年)受賞】

あらすじ

アルツハイマー病に冒された妻の首を絞めて殺したとして、自首しに来た元警察官の梶。

しかし取り調べを進めていくと、梶が妻を殺してから出頭するまでに空白の2日間があることが判明する。

2日間のうちに何があったのか梶は一切口を割らず、「半落ち」(一部自供)のまま取り調べは膠着状態に。

梶は一体何を隠そうとしているのか、真相は謎に包まれたまま闇に葬られようとしていた。

見どころ

今もなお社会問題として取りざたされる「介護殺人」について、じっくりと向き合うための様々な視点を与えてくれる作品です。

一人の男性の秘密を警察組織の隠蔽体質と絡ませることによって、あらゆる憶測を呼ぶミステリーに昇華させるというのが非常に面白い手法と言えるでしょう。

法廷シーンでの名優たちの、名言を交えた熱演は一見の価値があります。

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ALWAYS 三丁目の夕日【第29回(2005年/平成17年)受賞】

あらすじ

昭和33年の日本の下町を舞台とした映画。

集団就職で青森からやってきた六子は就職先が大企業だと思っていたが、小さな下町の工場でがっかりしてしまう。

工場の向かい側には小説家、茶川竜之介が経営する駄菓子屋がある。

居酒屋の女将、ヒロミにお願いされ、茶川は酔った勢いで、血のつながりのない男子、淳之介と一緒に暮らすことになる。

見どころ

昭和30年代の町並みが綺麗に描かれていました。

まるでタイムスリップしたような感じです。

いやいやながら就職した六子が徐々に就職先である鈴木オートの家族に受け入れられていく様子が良かったです。

また、最初は淳之介を邪険にしていた茶川でしたが、ゆっくりと淳之介と家族のような関係を築いていき、感動的なシーンになりました。

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フラガール【第30回(2006年/平成18年)受賞】

あらすじ

昭和40年、福島県いわき市の常磐炭鉱の炭鉱会社の部長は町おこしするため、常磐ハワイアンセンターを作ることを決意する。

そこでハワイでフラダンスをしていた平山まどかがフラダンス講師として呼ばれる。

募集を見て集まったのははダンス経験のない炭鉱の町娘たち。

厳しい練習に耐え、宣伝ツアーをし、新聞などに取り上げられる。

そしていよいよ常磐ハワイアンセンターが開館することになった。

見どころ

フラガールズに応募した炭鉱町の娘、谷川紀美子(蒼井優)の、人生選択の葛藤、ダンスの厳しさ、成長過程が見事に描かれていました。

舞台の常磐炭鉱は本当にさびれた町で誰もが「ここにレジャー施設なんて無理だろう」と思ってしまいます。

ですが、そんなさびれた町で、常磐ハワイアンセンターを開館したいという、個人個人の熱い想いが伝わってくるような映画でした。

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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン【第31回(2007年/平成19年)受賞】

あらすじ

ボクが三歳だった時のある日の真夜中、オトンが玄関を蹴破って帰ってくる。

オトンは酔っぱらっており突然お土産の焼き鳥の串を食べさせるのだ。

一方オカンはフライパンで殴られるなど散々な光景。

実はこれが故郷である小倉での幸せな日々の最後となるのであった。

オトンに愛想をつかしたボクはオカンと二人で筑豊にある実家に行きおばが営んでいる小料理屋を手伝いながら生活を送る。

見どころ

とにかく泣ける作品です。

序盤は泣くというよりどちらかというと笑えるシーンが多いですが、徐々にシリアスなシーンが多くなってきて気が付けば夢中で見てしまうのではないでしょうか。

オダギリジョーと樹木希林がまるで本当の親子のようで、演者のレベルもさすがに高くつい自分と重ね合わせて見てしまうシーンが数多くあります。

自分と重ねて見てみると、若者はボクに、親世代はオカンに重ねるとより楽しめるでしょう。

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おくりびと【第32回(2008年/平成20年)受賞】

あらすじ

チェロのプロ奏者を目指していた主人公は、夢を諦め、妻とともに実家のある田舎に戻る。

その田舎で働くことになったのが、亡くなった人を送り出す「納棺」の仕事である。

ただ、家族からは反対されなかなか上手くいかなくなってしまう。

そんな中、納棺の仕事をしながら思うことや送ることに対しての考えが本人も、そして反対していた周囲も変わっていく。

見どころ

納棺という仕事はあまり知られない人も多いです。

ですが、この物語ではその仕事の奥深さだったり、送る側に立つ遺族の思いなど知るべきことがたくさんつまった作品です。

あまり理解されない仕事ではありますが、必ずしもなくなって良いような仕事ではなく、亡くなった人の最後を飾ってくれる大切な役割の仕事なのだ、そう教えてくれます。

亡くなった人のぶんだけ送り方のストーリーも違う、そう感じさせられます。

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沈まぬ太陽【第33回(2009年/平成21年)受賞】

あらすじ

御巣鷹山に墜落した飛行機で遺族への対応を任された恩地元は、想像を絶する壮絶な現場を目の当たりにする。

家族を亡くされた身内がどういう思いになるのか恩地はこの大惨事がいったい何故起こったのか、自分の果たすべきことは何か考える。

最終的に企業から煙たがれていくのだが…。

見どころ

私はこの映画を見て、出世とは正義とは何かを考えさせられました。

恩地元の責任感が結局のところ企業からしたらどう思われるのか改めて組織という黒い闇がどれだけ大きいか知りました。

人の命ほど大事なものはありませんが、利権や人間の欲がそこには渦巻いております。

この映画は非常に人間力を学ぶ中で素晴らしいヒューマン映画です。

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告白【第34回(2010年/平成22年)受賞】

あらすじ

とある中学校の卒業式の日、1年B組の担当教諭である森口悠子は、事故死とされている自分の娘はこのクラスの生徒二人によって殺害されたということを告白する。

騒然とするクラスをよそにさらに森口は、その犯人である生徒二人の給食にHIVに感染している血液を入れた、感染するかどうかは運次第だと話す。

この告白をきっかけに森口と犯人の二人の生徒、さらにその家族までもが混沌に巻き込まれていく。

見どころ

この作品の見どころは人物の視点の切り替えによっては同じ出来事も解釈が違ってくるということを映像的に表現しているところです。

そのため、観客側の価値観はどんどん揺さぶられて、何が正しくて何が悪いのかが分からなくなってくるような感覚になります。

もう1つの見どころは、ほんの些細なことが重大なことに繋がってそれが連鎖して止められなくなるという恐怖をストレートに描いているところにあると思います。

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八日目の蝉【第35回(2011年/平成23年)受賞】

あらすじ

妻子ある男性と不倫の末に妊娠・中絶した希和子は子供ができない体になってしまう。

男性の妻は妊娠して女の子を出産。

留守中に男性の自宅に忍び込んだ希和子は衝動的にその女の子を連れ去り、薫と名付け、我が子として育てることを決意した。

幸せな数年間を過ごすも、やがてあることがきっかけで警察につかまり、希和子と薫は離れ離れになってしまう。

絵里奈と名付けられている成長した薫は、希和子と同じ不倫の末に妊娠、幼い頃の記憶をたどり、希和子の居場所を探すことにするが…。

見どころ

不倫相手の男性の妻が産んだ娘を連れ去り、自分の子供として育てようとするセンセーショナルな設定ですが、キャスト陣の熱演により物語に引き込まれます。

主演の永作博美が血のつながらない「娘」を愛する様子に、犯罪であるとわかっていながらも、涙ながらに、ずっとその幸せが続けばいいのに、と応援する気持ちになってしまうのは、彼女の演技力の高さによるものであり、見事だと感じました。

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桐島、部活やめるってよ【第36回(2012年/平成24年)受賞】

あらすじ

桐島はバレーボール部のキャプテンで頭も良く、学校ではみんなから特別な存在と思われていたが、そんな桐島が突然部活を辞めるというニュースで生徒たちがざわつきはじめる。

学校一の美女と呼ばれる桐島の彼女梨沙は、桐島に問い詰めようとするも、彼は学校に来ない。

桐島の親友で、外見も良くスポーツもできる宏樹は、夢中になれるものが見つからずにだらだらと学校生活を送っていたが、桐島が部活を辞めるという知らせに戸惑い…。

見どころ

この映画の斬新なところは、タイトルにも名前がありもっとも重要な人物であるはずの「桐島」が、一切姿を見せず、桐島が部活を辞めるというニュースにより翻弄される人物たちの言動によって、桐島の人物像を想像させられるという点です。

登場人物のやりとりは、共感できるリアルな部分も多く、誰の視点からストーリーを観るかで、楽しみ方が変わる作品です。

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舟を編む【第37回(2013年/平成25年)受賞】

あらすじ

新しい辞書作りに挑む主人公とその主人公と恋に落ちる女性のストーリーです。

出版社の辞書編集部に移動になった主人公が個性的なメンバーとともに一冊の辞書を作っていきます。

また宮崎あおい演じる香具矢に恋に落ち、言葉を扱う仕事ながらうまく伝えることができず、しかし着実に進んでいきます。

一冊の辞書を作るまでの人間模様を描いた作品です。

見どころ

松田龍平演じる主人公と宮崎あおい演じるヒロインの恋模様が一番の見どころだと思います。

もどかしいところもありつつ、しっかりと夫婦になっていく様が素敵です。

また一冊の辞書を作るまでのストーリーなため時間経過が長めです。

一冊の辞書を作るまでこんなに時間がかかるんだというビックリもありますし、周りの人間模様や辞書を作るまでの壁も見どころです。

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永遠の0【第38回(2014年/平成26年)受賞】

あらすじ

大学生の健太郎と姉の慶子は、祖母の四十九日に祖父が実の祖父でないことを知る。

二人で実の祖父について調べると、凄腕の零戦乗りの祖父は特攻で戦死していることが分かった。

当時の戦友から情報を集めていると、祖父の評判は「臆病者だった」「勇敢だった」と正反対のものだった。

あらゆる情報をもとに、実の祖母の本来の姿に迫っていく。

見どころ

戦争中の迫力ある映像はもちろんのこと、人間どうしの感情が交錯したヒューマンストーリーの一面も持ち合わせています。

久蔵は特攻隊員としての技術は認められながら、人間性については正反対の評価をうけていました。

特殊な心理状態にある戦時中にタイムリスリップして、いろいろな角度から久蔵の真意を探るのが見どころの作品です。

海街diary【第39回(2015年/平成27年)受賞】

あらすじ

三姉妹の長女幸は、看護師として働きながら、妹2人と鎌倉の古い家で暮らしていた。

15年前、他に女を作って家族を捨てて出て行った父の葬式に足を運んだ時に、腹違いの妹、すずと出会い、一緒に暮らすことを提案する。

それぞれに悩みや心の傷を抱えながらも、仲良く暮らす4姉妹だったが、長い間音信不通だった幸の母が姿を表したことにより一悶着が起こる。

見どころ

この映画の見どころは、もちろん姉妹愛、家族の絆などの感じられるストーリー展開にもありますが、なんといってもキャスト陣の豪華さです。

4姉妹が、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、そして広瀬すずという、そうそうたる美女揃いで、彼女たちのファンであれば、それだけでも観る価値があります。

もちろん美貌だけではなく、演技力にも定評がある女優陣なので見応えがあります。

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シン・ゴジラ【第40回(2016年/平成28年)受賞】

あらすじ

ある日突然、東京湾アクアラインでトンネルが崩壊する。

それから間もなく、海上から巨大な尻尾が出現。

内閣官房副長官の矢口蘭堂らは対応に追われるが、前代未聞の事態に混乱する中、ついに謎の巨大生物が姿を現す。

街を破壊しながら進む怪獣を駆除するため、ついに自衛隊が出動するが、事態は予測不可能な方向へ発展していく。

見どころ

これまでのゴジラとはまったく違うデザインに注目です。

微妙にデザインを変えながらさまざまなゴジラが生み出されていますが、この作品に出てくるゴジラに似ているものはありません。

そのため、ありきたりなゴジラ映画に飽きている人なら、興味深く鑑賞できる作品になっています。

モーションアクターを野村萬斎が担当しているため、その動き方も見所のひとつです。

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三度目の殺人【第41回(2017年/平成29年)受賞】

あらすじ

弁護士の重盛は、ほぼ死刑確実の殺人犯・三隅の弁護を引き受けることになる。

勝つことを最優先してきた重盛にとっては嫌な案件であり、渋々仕事を始めるが、事件は単純なものではなかった。

三隅と話すうちに動機に疑念を感じ始めた重盛は、当初の考えを改めていく。

謎を解明し、真実を突き止めようとするが、事件は予想できない展開を見せていくのだった。

見どころ

この作品の裁判シーンは、設定に沿った模擬裁判を実際に行い、そのときの言動や反応などを盛り込んで作られました。

そのため、他の映画とはひと味違ったリアルさがあります。

また、理解力を試されるような複雑な事件も魅力のひとつです。

二転三転するストーリーを咀嚼するため、何度も見返したくなる作品に仕上がっています。

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万引き家族【第42回(2018年/平成30年)受賞】

あらすじ

ボロボロの平屋で暮らす5人の家族。

治・信代夫婦の収入だけでは生活していけず、祖母の初枝の年金と治・息子の祥太の万引きで補い貧しく暮らしていた。

ある寒い夜、治と祥太は万引きをした帰りに、虐待を受けて傷だらけの少女を「保護」する。

ゆりと名乗るその少女を一度は家に帰そうとするが、家族として迎え入れることとなり、6人家族としての生活が始まるのだった。

見どころ

万引きで生計を立てているから「万引き家族」なのかと思いきや、作中で語られる真実からそのタイトルにこめられた本当の意味に気づいた時に、ハッとさせられるものがあります。

キャスティングは豪華な顔ぶれですが、誰か一人の熱演に食われることはなく、それぞれの役柄が引き立つ名演技に心揺さぶられます。

「家族」とは一体なんなのかと考えさせられる作品です。

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新聞記者【第43回(2019年/平成31年/令和元年)受賞】

あらすじ

東都新聞社の社会部にて若手女性記者として働く吉岡エリカ。

同じくジャーナリストであった父親が誤報のために自殺してしまったという暗い過去を持つ吉岡は、官邸に対しても忖度なく鋭い質問をすることで知られていた。

とある日、吉岡のもとに大学の新設計画にまつわる極秘情報が匿名のファックスで届き、上司の陣野から調査をするよう指示を受ける。

内閣情報調査室の若手官僚である杉原拓海は、現政権に不都合なニュースをコントロールするという自分の任務を全うしたい気持ちと、その反面ではもともとの「国民に尽くしたい」という信念の間で葛藤していた。

吉岡が極秘情報の核心に迫った時に、内閣府の神崎という人物の名前があがってくるが、その神崎は自殺を遂げてしまう。

杉原の尊敬する上司であった神崎の死に疑問を持ち、彼もまた調査を始めるのだ。

新聞記者の吉岡と官僚の杉原が調査を進めた結果、驚きの事実が明らかになるのである。

見どころ

第43回日本アカデミー賞において最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞の主要3部門で3冠を受賞したことでも有名なこの作品の見どころは、現政権への忖度なく真っ向から批判をしているその大胆さだと思います。

フィクションとしての作品ではありますが、加計学園問題など実際の政治スキャンダルをモチーフとしていることは明らかであり、気持ち良いほどに政権の闇を暴いて世間に明らかにしてくれているところが潔いほど。

新聞記者や官僚を取り巻くさまざまな人間ドラマも見どころのひとつだと思います。

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歴代の日本アカデミー賞最優秀作品賞をまとめてみて思うこと

歴代のあらすじ・みどころをまとめてみましたが、私自身かなり見たくなりました。

特に1970年代~1980年代の作品って、テレビとかでもあまり放送されてなかったりするので…。

例えば、「楢山節考」「黒い雨」あたりは、あの時代だからこそテーマになるものだったりするのかなーとか思いをはせてみたり。

役に立つカモ

あらすじを見るだけでも切なくなったよ。

「昔の映画って見る気がしない!」って考える人も多いと思いますが、案外見てみるとハマるかもしれません。

興味がある人は、ぜひ動画配信で見てみてください。

注意

本ページは2020年3月時点の情報です。
最新の配信状況は配信サービス公式にてご確認ください。

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